2月17日、ファインディー主催のDevinに関するイベントに参加しました。イベントでは、Devinの実践的な活用事例や導入のポイントについて、3名の登壇者によるパネルディスカッションが行われました。

イベント概要

  • イベント名:Devin使ってみてどうだった? ~活用事例と導入時のポイント~
  • 主催:ファインディ株式会社
  • 登壇者:
    • 西尾泰和氏(サイボウズ・ラボ株式会社 主幹研究員、サイボウズ株式会社AIエキスパートチーム)
    • 寺本大輝氏(株式会社Helpfeel プロダクトエンジニア)
    • 鹿野壮氏(Ubie株式会社 プロダクトエンジニア)
  • モデレーター:ばばしお氏(ファインディ株式会社)

印象的だった内容

Devinの実践的なデモンストレーション

寺本氏によるDevinの実演では、実際の開発環境でDevinがどのように動作するかが示されました。特に印象的だった点:

  • Devinは独自のコンテナ環境(Ubuntu)で動作し、その中にブラウザ、シェル、VSCodeなどの開発ツールが整っている
  • GitHubとの連携により、プルリクエストの作成やレビューまでを自動的に行える
  • 作業プロセスの可視化:ダッシュボードでDevinの作業手順や実行時間を確認可能

パネルディスカッションの主なポイント

1. 開発プロセスへの組み込み方

  • タスク管理の考え方
    • 各メンバーが自己判断でDevinに依頼
    • チケットの責任は人間が持ち、Devinは実行者として活用
    • チーム全体でDevinを活用可能(エンジニア以外も含む)
  • 非同期タスク処理の利点
    • スマートフォンからでもタスク依頼が可能
    • ミーティング中でも並行してタスクを進められる
    • 隙間時間の有効活用が可能

2. 効果的な活用のポイント

  • タスクの分解と依頼方法
    • 複雑な作業は小さなタスクに分解
    • 一つのセッションでは一つのタスクに集中
    • 10ACU程度に収まるサイズが推奨
  • セッション管理の重要性
    • セッションごとに会話履歴は独立
    • タスクごとに新しいセッションを開始
    • コスト面でもセッションを分けた方が効率的

3. コスト管理と運用のコツ

  • ACUの効率的な使用
    • 正規表現を使用した一括処理の指示
    • テストケースの活用
    • 大きなタスクは分割して実行
  • 10ACUを超える場合の対処
    • 途中経過をプルリクエストとして出力
    • 次のセッションへの引き継ぎ情報を記載
    • タスクの依頼方法を見直し

4. 開発環境とチーム開発

  • 知識の共有と管理
    • ナレッジを単にDevin内に閉じ込めない
    • チームで共有できるドキュメントとして整備
    • 新入社員も活用できる形での知識の蓄積
  • AIと人間の役割分担
    • 人間は責任を持ってタスクを管理
    • AIは実行者として柔軟にスケール
    • チーム全体の生産性向上を目指す

質疑応答から

1. Devinに適したタスク

  • 向いているタスク
    • 文言修正や画面の調整
    • データベーススキーマの更新
    • CI/CDのビルド設定改善
    • 依存関係の更新
    • コードのリファクタリング
    • ドキュメントの更新
  • 注意が必要なタスク
    • 機密情報を扱う作業
    • 複雑な判断が必要な設計
    • 大規模な機能追加

2. コストと運用について

  • 基本的な使用量
    • 初期提供の250ACUは比較的早く消費
    • タスクの依頼方法により大きく変動
    • 効率的な依頼方法の習得が重要
  • コスト最適化のポイント
    • 小さなタスクから始める
    • 効率的な実行方法を明示的に指示
    • 参考となるコードやテストケースを提供

感想

このイベントを通じて、Devinが単なるコード生成ツールではなく、開発プロセス全体をサポートする強力なツールであることが理解できました。特に印象的だったのは、各登壇者がDevinを「新しい同僚」として捉え、チーム開発の中で効果的に活用している点です。

また、コスト管理や効率的な使用方法など、実践的な知見が多く共有され、今後のDevin活用に向けて具体的なヒントを得ることができました。登壇者それぞれの異なる視点からの意見や経験談は、Devinの可能性と課題を多角的に理解する良い機会となりました。